いや寒いですね、寒いですね。実は寒いほど忙しくて、なかなかブログの更新ができません。 すいません。
さて今回は・・・・
「太極拳が教えてくれた人生の宝もの・・・90日間の修行日記」という本を、たまたま本屋さんでで見つけた。
パラパラっとめくって面白そうだったので、買って帰って読みました。
最近読んだ本のなかでは、結構良かったので感想を書くことにしました。
文庫本サイズで、260ページと短い本です。私は1日で読んでしまいましたが たいていゆっくり読んでも2-3日で読める本だと思います。しかしながら内容は濃い本だと思います。
まずはあらすじ、
日本在住のフランス人音楽家である45歳のデュポワと言う人が、仕事の行き詰まりメンタル面の落ち込み、 身体的疲労の影響で生きる力が弱くなってしまい、体調を崩す
それをなんとかしようと、若い頃習っていた中国武術を再び修行するために一念発起し、中国湖北省 武当山にある 武術学校に入学する。
そこでの90日間の修行の話しである。
中国湖北省 武当山は中国武術の発祥の地の一つされていて、中国武術の聖地であるらしい 。しかし、その山に、武術学校ができたのは1989年頃と、もうひとつの有名な武術の聖地「少林寺」と比べると 武当山武術学校の歴史は比較的新しいようだ。
それまではそこに学校は無くただの山だった、先人、達人たちは
山や洞窟の中で修行していたのであろう。
さて少林寺は寺であり仏教であるが、こちらの武術学校は道教が根幹になっている。
日本で言うと、お寺と、神社の違いみたいなものかもしれない。道教は仏教の
仏様の救いと言う考えと違い、どちらかと言うと哲学的な 教えで、自分で思考し山や自然に問いかけて答えを出す。そんな感じの教えで、いわゆる宗教とはちょっと違うみたいだ。
そんな中、90日間のデュポワさんの修行、読んでみると色々なことが起こる。
金銭トラブルや、パソコン、携帯電話使用の是非、暖房が壊れたり、隠れて酒を飲んだり、煙草を吸ったり、食中毒になったり ・・・
デュポワさんの先生は25歳のエリート武術家。
その25歳の武術の先生が45歳のデュポワさんの部屋に勝手に入ってきて部屋の抜き打ち検査をするプライベートの 問題、等々。
そこの武術学校の練習システムは朝に生徒の全体練習を行い、あとは自主練をしつつ、自分の師事する先生にマンツーマンで教わるようなシステムだ。読んだ感じだと座学(いわゆるお勉強の授業)はないようだ。ひたすら、武術の稽古をする
1日7時間から8時間。ほとんど山や岩の上、グランドなど外で行う。そして、昼食や夕食、休み時間も先生たちと一緒に 食堂などで食事をし、今後の方針や悩みや、現在の自分のレベルなどについて話し合っていく。
練習し、瞑想の後は耳のマッサージをしてケアしないと、耳たぶが凍傷で壊疽して落ちてしまう。そんな環境である。
デュポワさんは練習し瞑想し、あまりに疲れきってしまって、隠れて酒を飲んで寝てしまう。そのため耳がひどい 凍傷になり千切れそうになる。 そんなことも起こる。
そんな環境だが山と共に生きるため、デュポワさんのように都会生活でメンタルが参ってしまった人、末期の癌だと現代医学に見放された人、中国武術に憧れて、修行に来る人など様々な外国人が修行にやって来る。 日本人もたまにくる。
南米人や、アメリカ人も来る。
それから、中国国内で親元を離れ、この武術学校で寮生活を送る子供達もいる。
子供達は、小さいころから、何らかの事情でこの学校に入学し、武術練習に明け暮れる。
我々がたまに中国○○団などと、テレビなどで目にするような、サーカスにもひけを取らないような、ものすごい身体能力と美しい技・・・・それはこういう小さいころからの英才教育で産まれるのであろう。
そしてその子供達は、なにがしの学校のイベント・・・デュポワさんや他の生徒が入学した時の歓迎会や、クリスマス会(道教もクリスマスを祝うらしい)には学校の先生や校長、大人の生徒達と、イベントに参加して小学生ほどの年齢でも酒を飲んで煙草を吸い、普段の厳しい稽古を忘れて羽目を外して騒ぎまくる・・・こんな文化の違い・・・。
なかなか興味の持てる面白い内容である。
私が特に感銘を受けたのは、毎日7-8時間も練習するデュポンさん45歳。下手すると凍傷で耳が落ちるような環境。
怪我をしたり、食中毒になったり、鬱になりかけたり そしてついに、大金をはたいてこんな所に来て、こんな事(落ちたら完全に死ぬような岩の上で型の稽古など)まで
やらされて「これが人生において何の役に立つのか!?東京に帰るから金を返してくれ!!」などと叫んでしまう。・・・そりゃそうだろう!! 私ならとっくに帰ってる。
しかし、そんなデュポワさんに25歳の師匠はこう言う 「ワーク!!(やれ!!)」
そして「体を酷使して、拳法を極めるために誰もが通る道だ。これを乗りきれば何かを掴める。」
それから、色々あるが、25歳の師匠がこんなような事を言う「基本の型は8個あるが、君には最初の3個しか教えない、順番だけ教えて満足させて帰すのは簡単だが、君には教えない。教わりたかったらまたここに来る事だ・・・。」 師匠が弟子のデュポワさんを認めた瞬間だ。
そしてついにやり遂げて東京に帰ったデュポワさんは何かを掴むことになる。
さてこの歳の離れた師弟、正月休みで師匠が実家に帰省することになり、丁度、同時期90日たち無事に学校を卒業し 学園を去ることになるデュポワさんと共に、二人でバスや電車を乗り継いで中国でも都会の都市の方へ下山する。
そして、ついに乗り換えの駅で別れの時が来る。ちょっと昔流行った、佐賀のがばいばーちゃんのラストを思い出した。
「いぐなー!!」
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